荻野の地理的特性を物語っているものとして、谷戸の数が鎌倉より一つ少ない“九十九谷戸”であったため幕府の地を取られてしまったと云う伝説があります。 谷戸田と里山、その後ろにそびえる奥山が荻野の原風景です。太古には海だったといわれる急峻な奥山は、高取山、華厳山、経ケ岳と連なり、これらは通称西山と呼ばれ、近郷近在の村民が薪や茅を求める入会の山でした。 西山はさらに仏果山、半原の高取山へと稜線は続き、丹沢山塊の最前線として、首都圏からの登山者に、身近で手頃な日帰りのできる山として親しまれてきました。 このように地元はもとより県内外の多くの人々に愛されてきました西山の一角が今、市民が知らぬ間に一方的な手続きによって破壊されようとしています。 不思議なことに、地形上からは「県立丹沢大山自然公園」に入るべきところであるにもかかわらず、華厳山と高取山の中間から清川村側にその線引きは曲がっています。あたかも、相模興業の採石場を正当化するかのように。 また、稜線にある尾根道は厚木市の市道ですから、県の環境アセスの如何にかかわらず、大規模な環境破壊につながる採石事業をこの尾根道を存続させることで阻止できたのです。しかし、市長は市民に充分な説明をしないで、廃道・付け替えを決めてしまったのです。市長自ら市民憲章を尊重しないで。 西山は起伏に富み、眺望もよく、蚕種石・発句石などあり、その昔は八菅修験の入り峰コースでもあり、厚木市の大事な観光資源です。また周辺には複数の社会福祉施設があり、さらに猛禽類保護のシンボル的存在であるオオタカが観察されています。この採石事業は、景観はもとより、動植物への被害、搬出車両による交通被害、地下水など、私たちの日常生活に与える悪影響は計りしれないものがあります。 市長の任期には限りがありますが、一度破壊した山は二度と生えてきません。後世に禍根を残さないように、自らの手で守りましょう。 「西山を守る会」 代表 花上 義晴 |
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