平成19年(行コ)第239号 怠る事実の違法確認等請求住民訴訟控訴事件

控 訴 人  花 上 義 晴 ほか17名

被控訴人  厚 木 市 長

2008年2月20日

 

東京高等裁判所第2民事部 御中

控訴人ら訴訟代理人

弁 護 士  梶  山  正  三

控訴人第4準備書面

 

 本書面は、控訴人の当審における主張を補足するものである。

1 本件各市道の機能・役割・価値について

 (1) 本件各市道の機能・役割〜我妻証言から

   先日行われた我妻証言は、従来の原告らの主張、とりわけ本件各市道の機能・役割について具体的な事実をいくつも付け加えた。

   本件各市道、とりわけ西山尾根道と呼ばれるI-705線等の価値は大きい。それは、控訴人第3準備書面で述べたように次の点にある。

  @ 山麓地域(上荻野、中荻野、鳶尾、真弓など)住民の里山へのアクセス道(山菜・キノコ採り、落葉・薪の採取)

  A 山麓地域(上荻野、中荻野、鳶尾、真弓など)と山麓地域(上飯山など)を結ぶ交通路

  B 眺望と景観を楽しむ散策路(犬などを連れて散歩する人たちもいる)

  C 訪れる人たちを楽しませる観光の道(毎日数組は訪れるハイカー)

  D 歴史的文化的遺産を秘めた道(発句石など)

  E 採石などの大規模自然破壊を防止する役割を果たす道(本件各市道が存在すれば採石事業は防止できる)

 

   上記各「価値」については、我妻証言、同人の陳述書(甲57)のみならず、既に多数の書証、写真等を提出し、原審における3名の本人尋問(控訴人花上、荻田、原告本人川田)など十分に立証してきた。

   以下の点を付加する。

   第1に、前回期日において我妻証人は、裁判長の「山で何をしにきた人に会っているか。」という趣旨の問いに対して、「ハンターだけです。」と答えたが、同証人から、その証言の趣旨が誤解を与えたのではないかという申し出が、証言の翌日当代理人に対してなされ、上記証言の趣旨は、「何をしに来たのか、分かるのはハンターだけです。」という意味であり、ハンター以外には会わないという趣旨ではない(甲141)。確かに、一目で何を目的に歩いているかということが明確な場合は少ないであろう。同証人が云いたかったのは、正に「ハンターだけは、特徴があって、一目で分かるが、他の人は、散歩なのか、山菜採りなのか、それとも他の目的なのか分からない」ということにある。

   云うまでもないが、上記において「ハイカー」は、裁判長の質問の前提としても除外されていることに注意を要する。ハイカーには、毎回「一桁」のグループには必ず会っているのである。

   第2に、西山尾根道は、「荻野高取山」(当該地域の「高取山」は「半原」「煤ヶ谷」「荻野」の3つあることについては我妻証言参照)を起点として上飯山に至るまで標高500メートルから徐々に高度を下げる道であり、その標高から見ても、また、地域住民の生活圏(テリトリー)に含まれるという意味でも、正に「里山」と呼ばれるに相応しい(「里山」とは山麓の住民が薪、山菜、キノコ、落葉などを採取する目的で立ち入る山である)。現在では、相模興業の「立入禁止」措置によりその実態が失われつつあるが、かつては、そのような実態があったことが窺われる。

   第3に、西山尾根道に関して、誰もが無条件に認めるのは、その散策道としての素晴らしさであり、眺望・景観の良さであり、歴史的・文化的価値を秘めた道であるという点である。厚木市の前市長もその点に関しては全く異論はなかった。何度も引用したが、次のように述べている。

「西山は本市のハイキングコースに指定していないが、起伏に富み眺望も良いコースとして知られ、多くの登山客が経ヶ岳・華厳山・高取山と稜線(上飯山・平山間)を歩いている。また、西山には、発句石、経石、子蚕石等もあり山全体として本市の観光資源である。」(甲10号証)

 

 (2) 本件各市道の機能維持と公物管理

   控訴人第3準備書面では、本件各市道の財産的価値を「交換価値」と「使用価値」に分けて述べ、本件市道廃止処分は、道路としての用を廃止することであり、その「使用価値」を滅失させることであって、直接にその財産的価値を失わせることであるから、それ自体において、財務会計上の行為として住民訴訟の対象になることを述べた。

   上述した本件各市道の「多様な価値」は、全てこれが「道路として使用されている」場合に認められるものであるから、本件市道廃止処分は、上記「多様な価値」を全て失わせることになる。

   ところで、道路としての価値に関しては、その敷地の交換価値のみで捉え、その道路としての機能を利用したり、使用する価値に独立した利益・価値を認めず、それらによって得られる利益は「反射的利益」に過ぎないとの論がある。この議論は、公物それ自体には財産的価値を認めつつも、「公物管理権」は財務会計行為ではないとの立場(控訴人第3準備書面9〜10ページ)に通じるものである。

   この立場では、道路としての「機能・使用価値」それ自体についても、それを「反射的利益」として矮小化し、あるいは財産としての価値とは別論だとの立場に結びつきやすいので、これについて念のため一言述べておく。

   道路のような公物を公共的信託の理論で捉えれば、それを道路として利用することは、住民の権利であり、利益であるからそれを信託された行政が公用を廃止することは、住民の利益を奪うことになる。ただし、このような公共的信託論を正面から否定した判例がある(入浜権につき、松山地裁昭和53年5月29日判例時報889号170ページ)。

道路のような公物は公共用物として住民の使用に供されている限りでのみ自由に使用することが認められるというのが、かつての理解であり、自由使用の価値は反射的利益であって、法的に保護されないというのが古い裁判例の大勢とも云えた。

   しかし、最判昭和39116日(民集1811ページ)は、「日常生活上諸般の権利を行使するについて欠くことのできない用具」である場合にはそのような私人による継続的な妨害に対して排除請求権を認め、公用廃止行為が違法になされたと主張する場合においても、日常生活・日常業務に著しい支障ある者については、公用廃止行為を争う原告適格を肯定する下級審裁判例がある(長野地裁昭和61712日、同事件の控訴審東京高裁昭和62127日)。

   控訴人第3準備書面で述べた「道路としての使用価値」を、管理する側から見れば「道路としての機能維持」であり、道路としての使用を廃止することは、当該機能に直接的に影響を与える行為であるから、「機能」に財産的価値を認める限り、道路としての用を廃止することは、原則として「財務会計上の行為」であって、住民訴訟の対象になると解さなければならない。

一方において、行政財産の目的外使用許可は、一般に住民訴訟の対象になる行政処分であると解するのが多数説と解される(「住民訴訟論」関哲夫:勁草書房27ページ、「住民訴訟」園部逸夫:ぎょうせい54ページ)。それは、公共用物の本来の機能とは異なる使用により、少なくともその許可処分が存する限りにおいて、その機能に影響を与えるからである。そうであれば、当該道路としての機能を全部失わせる「道路としての用を廃する」行政処分が、住民訴訟の対象にならないはずはない、と云えるであろう。

 

2 本件土地交換契約の無効事由〜議案89号の検証

本件市道廃止処分に係る議案89号については、その瑕疵ないし問題点については、今までの主張してきたところであるが、控訴人第2準備書面で指摘した「第5 新たな違法事由の追加」「議案に示された認定・廃止市道図面の誤り等」を補足・敷衍するとともに、従来の主張に関しても一点補足する。なお、上記「追加違法事由」に関しては、被控訴人から反論もなされている(被控訴人平成20123日付準備書面)ので、それについても言及した。

 (1) 提案理由

  議案89号の「提案理由」については、「本件各市道が一般交通の用に供する必要がない」(道路法10条1項)が一切触れられていないこと、それが被控訴人の本件訴訟における主張と全く異なることは再三再四指摘してきた。これについての被控訴人の反論はないが、念のため、1つ補足する。

  議案89号の提案理由には、道路法8条2項と10条3項が挙げられている(甲126の添付資料参照)。

  被控訴人は、現時点では何も言っていないが、道路法10条3項が、同条1項と2項を受けた規定であることから、当然に10条1項を含むのだと云うかも知れない。しかし、このような理屈は成り立たない。何よりも、本件各市道の廃止理由を道路法に基づいて云うのであれば、10条1項は、欠かせない規定である。そのうえ、口頭による議会説明でも、10条1項は全く言及されず、全てが、「相模興業の岩石採取のため」であることは一貫していた。

  何度も言及するが、平成15年9月19日の都市経済常任委員会における当時の厚木市道路管理課長「提案理由」説明(甲20号証1枚目)。

 「議案89号の市道路線の廃止及び認定についてでございますが、中荻野及び上荻野地内において、岩石採取の事業区域拡大に伴い、隣接地権者から路線の払い下げ及びつけかえ申請があり、現況及び内容調査の結果、道路の機能回復を図ることができると判断いたしましたので、市道7路線を廃止し、新たに4路線を認定するものでございます」

   一般交通の用に供する必要がなければ、「機能回復」は必要ない。本件各市道を廃止しなければ、「付け替え」も必要ない。つまりは、「岩石採取の便宜を図る」以外には、何も目的がないことは、この発言が如実に示している。

 

 (2) I-505路線について

議案89号(以下単に「議案」ということがある)の「瑕疵」について控訴人第2準備書面に付加及び補足しつつ指摘する。

まず、議案では-505路線(廃止)終点が「中荻野字西山193355号」となっているが(甲126の添付資料参照)、議案が提出された平成159月にはこのような地番は存在しない(甲143)。この地番は平成7年3月16日に合筆により193351号とされている。厚木市は合筆から8年以上も道路管理を怠っていたので、このような明白な誤りに気がつかなかった。

また、平成6年発行の厚木市土地宝典では-505路線の終点にあたる地点が1933番の54号または62号となっている。被控訴人の提出している道路台帳は、その元になる文書が紛失しており、したがって、「信用できない」ものであることは既に指摘済みだが、上記の点から見ても、現状の道路台帳それ自体に誤りがある可能性がある。

   後述するように被控訴人は、「起点・終点」は地番で特定されており、それに誤りがなければ、図面に少々誤りがあっても問題ないという乱暴かつ杜撰な論旨を展開しているが、上記のように「存在しない地番」を終点として示したことについては、弁解できないであろう。

 

 (3) I-519路線について

議案では-519路線(廃止)終点が「中荻野字西山193354号」となっているが、この地番も、同様に存在しない。この地番も平成7年3月16日に合筆により193351号とされている。厚木市は道路管理を怠っていたので、この明白な誤りを看過したのである。さらに、平成6年発行の厚木市土地宝典では-519路線の終点が1933番の55号または56号となっており、これも、前同様に道路台帳自体に誤りがある可能性がある(以上につき、甲143)。

 

 (4) I-779路線について

   -779路線(認定)に関してはいくつも問題がある(甲144)。

  @ 議案説明用の図面と実際の路線(測量図面)とは大きな齟齬がある

  A 市道認定路線図(平成17年3月)と測量図面も大きな齟齬がある

  B 測量図面による道路長と道路台帳、議案89号の道路長には、17メートル以上の違いがある

  C 現実の道路幅員は、数十センチメートルなのに、その10倍近くも認定路線に含ませている箇所が無数にある

   以下、上記について説明するが、「議案」の内容については、甲126の添付資料を参照されたい。

230m

 
   右の図は、議案89号の説明用に添付

地図の一部を拡大したものである。

 赤線が、測量図の概略である(乙22

280m

 
1の図も正確でない。甲145参照)。

  1933-98の測量図と議案説明用の図を比

較すると次のことが云える。 

   第1にI-454路線との接点が全く異なる。

   第2に、上記路線との接点の標高が、測量図では標高約230mであるが、議案説明図では280mと大きく異なる(甲126)。

   被控訴人は、「終点は地番で特定されており、議案に付したのは「参考資料」だから多少の間違いは誤差範囲内で問題ない」という趣旨の弁解をしている(被控訴人平成20年1月23日付準備書面)。しかし、図を見れば一目瞭然「全く異なる道を示した」としか云いようがない。接点の標高が50mも異なれば、これを「同じ道路を示した」とは誰も考えない。わざと「誤った図面」で説明したとしたら、その意図が疑われるし、図面の誤りに気がつかずに使用したとしたら、本件市道廃止処分に際して、市道の実態に全く無関心であったことを示している。要するに「道路行政」とは無関係な廃止処分だったのである。


   次に平成17年3月の市道認定路線図(甲144添付資料参照)と測量図面との比較をしてみよう。

   議会説明のI-779と平成17年3月の認定路線図はほぼ一致しており、それらのいずれもが、測量図面とは全く異なることが分かる。市道の認定処分も廃止処分も、さらには本件土地交換契約も正しく測量された図面に従いなされなければならないことは当然である。

   この「路線認定図」が議案89号の議決よりもずっと後で作成されたことは、被控訴人自身、この重大な誤りに全く気がついていなかったこと又は、知っていて、議会を騙してきたことを示している。つまり、「確信犯」か「全くの無頓着」であって、道路行政とは関係なく、ただただ相模興業の顔色を窺うだけの廃止処分であり、認定処分であったことを示している。

   上記大きな齟齬は、議案89号の議決の無効をもたらし、さらには、土地交換契約の無効事由にもなるのである。

 

   次に-779路線の「道路長」について述べる。議案89号にはこの路線の延長475mと記載されている(甲126の添付資料)。平成17年3月25日の厚木市の道路台帳にも、同じ数値が記載されている(甲144の添付資料参照)。ところが、「測量図」を担当した有限会社高崎測量工業社が当該測量における境界座標を示した「境界点網図:厚木市中荻野地内」(平成16年5月作成:甲145の図中のポイント番号ごとにXY座標が一覧表で示されているもの)にしたがって、各ポイントごとの距離を計算することができる。これにより、-779路線の「北側境界の累積長さ」と「南側境界の累積長さ」

  とを求めて、これを平均すると457.677mとなる(甲143)。

   つまり、議案89号と議決後ずっと後に調整された道路台帳に記載された同路線の延長はいずれも、正しい長さに比して17m以上も異なるのである。

 

   このように議案における-779路線の「位置・図面・I-454路線との接点の位置、その標高」などは測量図面と大きく異なり、かつ、道路長も異なる。そして、その「大きな誤り」は、議案議決後の平成17年3月の道路台帳作成時においても是正されず、さらに云えば、現時点でも是正されていない。この驚くべき杜撰さは、そもそも被控訴人に「道路管理行政」など全く頭から抜け落ちており、本件市道廃止処分も、「道路管理など関係ねぇ」という認識でなされたことは疑問の余地がないのである。如何にして、相模興業の採石事業に寄与できるか?それのみが、被控訴人の関心事であった。そして、これらの「杜撰さ」は、当然ながら、本件各市道廃止処分の無効につながり、さらには、本件土地交換契約の無効にもつながるのである。等価交換契約の対象になる一部の土地が、その範囲も、位置も異なる場合には、当該土地の問題に止まらず、等価交換契約全体のバランスを失することになるので、当該等価交換契約全体の無効事由になり得る。

 

 (5) 議案89号の提案と議決の意味

   議案89号の「提案理由」において、「相模興業の採石拡大事業のために本件市道廃止の必要」は述べられているが、「一般の交通の用に供する必要がない」という理由は一切述べられていない。その点において、本件市道廃止処分は、道路管理行政とは無関係になされたことに疑問の余地はない。

   上記のことは、今まで口を酸っぱくして主張してきたことであるが、本書面では、さらに、議案89号には、議案として提示された内容が、実際の測量と大きく異なるという欠陥、存在しない地番を終点・起点として表示するなどの欠陥、が存在することが明らかになった。

   これが民間会社の役員会での決定であれば、虚偽の図面、内容を示して議案を提示した役員は即刻、役員会を追われ、虚偽の提案内容に基づく先の決定は無効なものとされるであろう。市民の負託に応えるべき厚木市長としては、本件訴訟が提起されなくても、自ら本件市道廃止処分を取り消すのが当然である。

   議案89号に対する議決が、上記欠陥だらけの提案内容を前提になされたものである以上、上記議決それ自体不存在又は無効と解するべきである。

 

 (6) 本件市道廃止処分の無効事由

   本件市道廃止処分の無効事由を改めて整理する。大別して次の3つが挙げられる。

   第1に、本件市道廃止処分には法的根拠がない(如何なる意味でも道路法上の道路管理行政としてなされていない)(原審以来の主張)。

   第2に、本件市道廃止処分は、その議案の提示及びそれに対する議決内容に大きな瑕疵があるので当該議決は不存在又は無効である。議決が不存在又は無効であれば、本件市道廃止処分も無効となる(本書面)。

   第3に、本件市道廃止処分は、本件市道の多様な価値を喪失させるものであって、財務会計上の行為として無効である(控訴人第3準備書面)。

 

   本件市道廃止処分が、厚木市民に塗炭の苦しみを与え、その歴史的文化的価値を喪失させ、良好な景観・眺望を失わせるなどの一審以来繰り返してきた主張事実は、上記「第3」の無効事由に含まれる。なお、「違法な行為は原則として無効である」(地方自治法2条16項、17項)から、上記に「無効」には、「違法であるが故に無効」の場合を含む。

 

3 蛇足だが

 (1) 本件市道廃止処分の無効と本件土地交換契約の無効との関係

   蛇足であるが、念のため述べる。

  @ 本訴請求の趣旨第2項(原審の原告第2準備書面)は、本件各市道廃止処分が住民訴訟の対象になる(それ自体財務会計行為である)ことを前提にその無効確認を求めるものである。その「前提」については、控訴人第3準備書面で詳述した。

  A 仮に、本件各市道廃止処分が住民訴訟の対象になる行為ではないとしても、上記処分が無効であれば、本件土地交換契約は無効(違法であるが故に無効)である(地方自治法2条16項、17項)。

B つまり、本件土地交換契約は、本件土地交換契約が財務会計上の行為であっても、なくても、いずれにしても無効である。 

  C 本件土地交換契約の無効は、その経緯からして、訴外相模興業に対して主張できる(悪意の第三者)ので、被控訴人が、同社に対し、本件各市道の明け渡せとの請求を怠ることは違法である。

 

 (2) サルカニ合戦〜厚木市長はサルよりも悪い

   サルカニ合戦の物語に喩えれば、訴外相模興業は「サル」、控訴人ら地域住民は「カニ」、そして、厚木市長(被控訴人)は、「サル」と通謀して、「カニ」から西山尾根道を奪った存在であるが、これは、サルカニ合戦では想定されていないキャラクターである。

   被控訴人は、サルの手先となって、地域住民(カニ)から「おむすび」としての西山尾根道を奪い、代わりに地域住民にとっては、役に立たない「柿の種」(悪路の付け替え道)を与えた。

   被控訴人が、嘘をついてまで、カニ(地域住民)を騙し、サルに協力しておむすび(本件各市道)を奪った手口は、実に巧妙であった。まことに、本件訴訟の経緯はサルカニ合戦に喩えるのに相応しい(甲142)。

   裁判所におかれても、是非これ(甲142)を熟読玩味されたい。本件の内実が実に分かりやすく説かれていることに気がつかれるであろう。

 

4 結語 

  本件市道廃止処分と本件土地交換契約が、訴外相模興業の採石事業拡大のためになされたものであり、他には一切何らの目的もなかったことは、明々白々たる事実である。現時点でその経緯を振り返れば、上記事実について一点の疑いもない。

  そして、これらの厚木市及び厚木市民にとって、かけがえのない貴重な財産を失わせる行為が、財務会計上の行為であることも疑問の余地はない。さらに、そのような悪質な行為が、こともあろうに厚木市長によってなされたという点で、本件は希に見る非道違法な行為といえる。

  西山尾根道を何としても破壊から守りたいというのは、控訴人らのみならず、多くの厚木市民と西山を愛する多数の人々の悲願でもある。裁判所におかれては、公正なる裁判によって、原判決を取り消し、被控訴人敗訴の判決をされるようお願いする次第である。

(終)

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