西山を守る会の要望に対する県当局の回答

  

     

 

 県民要求書(西山を守る会)に対する県当局回答

14.西山の採石認可について 知事は昨年の県央地区の集いでも、県土の荒廃を嘆き、水源環境の保全と再生を訴えその為の新税の必要性を、今年度も説かれています。

 ところが、厚木市の高取山採石場増設事業は自然破壊の乱開発であり、その不当さを訴えた、私たちの再々の要請にも拘らず、乱開発を止めさせる有効な施策をとらぬまま、採石許可と林地開発許可を出されました。私たちはこの事に強く抗議をすると共に、以下のことを要請します。

 

1)山稜を丸かじりする高取山採石場増設事業は乱開発そのものであり、東丹沢山系の山容の一部が無くなり、京浜地帯からの眺望が崩れ、景観権をも奪うものであるので、着工を中止させること。

 

【回答】厚木市中荻野字西山におけます相模工業の採石場増設事業の環境評価手続きについては2004年3月25日事業者から環境影響予測評価書が提出され同年4月13日、この環境影響予測評価書の縦覧も終え、事前の手続きは全て終了いたしました。この環境影響予測評価書の中で景観についは不特定多数の人々が利用する公共的な場で景観が展望できる主要な5地点を設定し事業開始後の代表的な着手10年後20年後30年後の3時点についてフォトモンタージュを作成し、景観構成要素の変化を検討することとしております。この検討の中では出来る限り稜線が平坦にならないように事業計画を作成し、稜線の形状を単調化せずに変化をつけることにより違和感の低下に努めること、また、採取する区域の  部に30メートルから50メートルに渡って斬地森林を設置すること、最終残壁には早期に緑化を施し色彩的に違和感のないような形に努めると共に保全策を講じることを考えております。事後調査等によりまして事業実施後の変化を把握し必要に応じて採石計画や緑化計画の改善を行うことなど景観への影響の軽減に柔軟に対応していくことといたしております。なお、岩石採取場との関係につきましては採石法により採石業者が作成を義務付けられ、市の認可を要するとされております岩石採取計画の認可基準として当該岩石採取行為により他人に危害を及ぼし公共用施設を損傷し、または農業、林業その他の産業の利益を損じることにより、公共の福祉に反する場合には認可してはならないとされており、具体的には所管土木事務所におきまして上記審査基準に基づき土地利用調整会議や環境アセスメントの結果に配慮するとともに採石場のある厚木市の意見を伺った上で認可いたしました。

 

2)太古の貝化石があり、絶滅危惧種のオオタカやクマタカも飛翔する貴重な自然の残る西山は、発句石等の文化財と共に、子どもたちへの自然と歴史学習の貴重な教材であり、郷土愛を育む山であるので乱開発を許さないこと。

 

【回答】厚木市中荻野字西山における相模工業採石場増設事業の環境影響評価手続きについては、2004年3月15日に業者から環境影響予測評価書が提出され、同年4月13日にはこの環境影響予測評価書の縦覧を終え、事前の手続きは全て終了いたしたところでございます。この環境影響評価書の中で平成5年に事業実施区域周辺の荻野地区の杉林の中におきまして繁殖が確認されましたオオタカを始めとした猛禽類につきましては猛禽類保護の進め方、これは環境省が発行しておりますマニュアルでございますが、これに基づきまして調査を行っておるところでございます。この調査によりますとオオタカおよび熊鷹は計画地の上空通過等は確認されたものの、いずれも餌運び等の繁殖等は確認されなかったと報告されております。しかし、繁殖扶養期の卵やまたは越冬期の固体等を発見した場合は、採掘を一時中断しその周辺における伐採時期への配慮や繁殖行動の観察を行い、繁殖後に採掘するかどうかまた、影響を与えない区域の採掘に切り替えるかどうか検討しながら事業を進める計画といたしております。また、猛禽類の保護のため採掘境界部にあります高木を極力残すようにすることと、営巣木近傍へ立ち入らないように作業員を教育するなどの追加措置をとる計画としております。また、実施区域にございます、いわゆるホフク石につきましては文化財指定はされておりませんが、地元の方々によく知られておりまして寵愛されていることから厚木市教育委員会等と協議し移設時期、移設場所について適切に配慮していくものとしております。なお、岩石採取場との関係につきましては採石法により採石業者が作成を義務付けられ、知事の認可を要するとされております。岩石採取計画の認可基準として当該岩石採取行為により他人に危害を及ぼし公共用施設を損傷しまたは農業・林業その他の産業の利益を損じることにより公共の福祉に反する場合には認可してはならないとされており、具体的には所管土木事務所におきまして上記審査基準に基づき土地利用調整会議や環境アセスメントの結果に配慮するとともに採石場のある厚木市の意見をうかがった上で認可いたしたところでございます。

 

3)県が環境アセスを認めた事を理由に、市道であった尾根道を厚木市は採石事業に供する如く払い下げましたが、この尾根道は、愛川町の高取山・仏果山・経ケ岳・華厳山・荻野の高取山と連なる通称「相州アルプス」の尾根道の一部であります。歴史的にも県民に親しまれている登山道として整備・保全すること

【回答】ご指摘の個所の大半につきましては県立自然公園区域外となっておりますので自然公園の歩道として整備することはできません。

 

4)自然環境破壊の最たるものとして、山を削り取る採石事業の見直しを検討し、猿・鹿・猪熊等々の野生生物の害から、人里の暮らしを根本的に守ること。ことに猿害については知事自ら現場視察していますが、山の住処を追われて人里に下りてきて、農作物を荒しているのを体感し、空鉄砲を撃つぐらいの対策では根本解決にならないことを実感して頂いていると思います。

 

【回答】ニホンザルにつきましては2003年に策定した保護管理計画に基づき各地域県政総合センターごとに設置する地域鳥獣対策協議会につきまして県・市町村・農業団体など関係団体の方々とともに群れごとの個体数や行動域などのモニタリング結果などを検証しながら毎年度被害防止対策を検討、議論し事業を推進しております。なお、山を削りとる採石場の見直しにつきましては採石法により採石業者が作成を義務つけられ、知事の認可を要するとされております岩石採取計画の認可基準として当該岩石採取行為により他人に被害を及ぼし、公共用施設の損傷しまたは農業・林業その他の産業の利益を損ずることにより公共の福祉に反する場合には許可してはならないとされております。具体的には所管土木事務所におきまして上記審査基準に基づき土地利用調整会議や環境アセスメントの結果に配慮するとともに採石場のある厚木市の意見をうかがったうえで許可をいたしました。したがいまして、野生生物に害があることを理由に不認可としたり認可を取り消したりすることは困難であります。

 

5)高取山尾根道のタブノキ林は学術的にも珍しいものであり、保護林の指定を行い伐採を禁止する措置を取られること。

 

【回答】ご指摘の厚木市の高取山周辺は自然に公園区域には指定されておりませんので、神奈川県自然公園条例により樹木の伐採等を規制することはできません。また、県文化財保護条例に基づいて県の区域内に存する記念物のうち県にとって重要なものを神奈川県指定天然記念物に指定することができる制度はございますが、高取山のタブノキ林につきましては、これまで厚木市から指定要望等は出されておりませんので県教育委員会において、当該群落を県指定天然記念物の指定として考えたことはございません

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