被告からのアンフェアな書証提出について


平成17年(行ウ)第12号怠る事実の違法確認等請求住民訴訟事件

原   告  花  上  義  晴

            ほか20名

被   告  厚  木  市  長

 

2006年12月18日

横浜地方裁判所民事第1部合議A係 御中

 

                 原告ら訴訟代理人

                  弁 護 士  梶  山  正  三

 

被告からのアンフェアな書証提出について

 

1 被告からの書証提出は裁判所の訴訟指揮を無視するもの

  被告から、乙1318号証が提出された。証拠説明書も含めて発送された

 のは12/13と思われるが、当代理人の手元に届いたのは、12/14の午後であ

 る。前回期日における裁判所の訴訟指揮は、最終準備書面において、双方提

 出の書証を検討する必要があることから、書証の提出期限を11/30とした。

 これは、12/20に予定されている最終準備書面に新たに提出される書証の内

 容を検討して、それを書面に反映させるために必要な期間を確保するためと

 理解される。

  被告の書証提出は、上記訴訟指揮による期限を大幅に遅延したものであっ

 て、裁判所の訴訟指揮を無視するだけでなく、新たな提出証拠に対する原告

 による検討の機会を奪うもので、アンフェアなやり方と評せざるを得ない。

 

2 立証趣旨と書証の矛盾、不可思議な書証の数々

  とはいっても、被告が大幅に遅延して提出した証拠が、簡単なものであっ

て、その内容の吟味がごく容易なものであれば、原告としても、あえて、文句を云うまでもないであろう。しかし、被告の提出した「新証拠」の多くは、極めて胡散臭いものであって、その内容に関しては、その成立の真偽も含めて検討する必要がある。

  その「胡散臭い」理由を端的に例示する。

 13号証

@ 「陳述書作成者」として三平定邦氏の名前が記載されている。しかし、その内容から見ると、三平氏が直接経験した可能性のある事実は、その一部に過ぎず、大部分は自ら経験したことのない事実を記述している。つまり、陳述書としての実質がない。

A 三平氏は、その現在の上司であり、法廷で証言した宮台功氏の証言していないことまで述べている。本来三平氏が述べていることは、証人である宮台氏が法廷で述べて、「反対尋問」に曝すのが証人尋問のルールである。したがって。三平氏陳述書は「反対尋問を回避する」ことを目的として、証人尋問のルールを脱法的に回避しようとするものである。

 15号証

@ 立証趣旨と証拠内容との整合性がない。

A 被告が引用しようとした箇所(黄色蛍光ペンマーク)は、被告の云う趣

旨とは異なる。

 16の1〜7号証

 @ 立証趣旨と証拠内容との整合性がない。この書証では、未供用部分は特定されていない。

 A 路線認定が、昭和604月になされたのであれば、その時に作成された同目的の文書があるはずであるが、それが「紛失したらしく見あたらない」というのが、公文書公開手続でそれを求めた際の、厚木市の原告らに対する説明である。そうすると、「基となる資料が見あたらないのに、それを基にした資料」としてのこれら書証は、「その内容に信用性がない」ということになるはずである。

 B したがって、乙1617は、どのような資料に基づいて作成されたのか、被告は明らかにすべきである。なお、これらが、作成された年月日は、提示書証からは特定できないが、それを特定する資料の提出をも求める。

 17の1〜7号証

 @ 立証趣旨と書証との整合性がない。これにより未共用部分を特定することはできない。

A これは市道再編成の行われた昭和604月に作成された資料をもとに作成されたはずであるが、前述の通り、「基になる資料が紛失している」以上、このような資料は作成できないはずであり、どのような資料に基づいて、これらを作成したのか釈明を求める。なお、それら「原資料」を書証として提出されたい。

 18号証

 @ 立証趣旨と書証との整合性がない。

 A 「写し」として提出された上記書証には、「説明のためのシール」が貼られ、さらに、赤鉛筆、緑鉛筆で、「共用部分」と「未共用部分」が手書きで書き込まれている。原本を「写す」ことによって、「シールが出現」したり、「赤鉛筆や緑鉛筆の説明が出現」したりすることはあり得ないから、「シール貼り」「色鉛筆等の書き込み」は原本にないものを、書証として提出するに際して書き込んだものであることは確実である

   そうすると、「原本」には、「供用・未供用」の区別を示すものは何ら存在しないことも明らかで、立証趣旨とは無関係な資料である。

 B 仮に、被告が、上記立証趣旨を維持するというのであれば、原本の提示を求める。

 C 仮に、被告が、上記立証趣旨を維持するというのであれば、この道路台帳と称するものは、平成153月作成とされているが、そのもとになる資料について明らかにされたい。供用・未供用は、被告の主張によると昭和604月に決まったことになるから、その際、作成された資料が原資料のはずだからである。

 

3 進行に関する意見

  以上、簡単に述べたが、被告提出の新証拠には、上記のように胡散臭い部分が多々あるので、原告としても、その書証内容について調査が必要である。結審予定期日ぎりぎりになって、このように不可解な書証を提出してきた被告の態度がこのような混乱を招いた。

  以上の経緯をふまえて、原告としては、本件訴訟の進行について次のとおり意見を述べる。

 @ 被告が、大幅に遅延して提示してきた乙13号証以下の書証については、提出を認めない旨の決定をされたい。

 A 仮に、上記書証の提示を認めるのであれば、結審予定日を延期し、原告が当該書証を調査検討するのに必要な期間を経過した後に、さらに弁論期日を指定されたい。

以上

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